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孤独感と社会の硬直性の関係に関する論文が発表されました。

2022.10.05

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https://www.nature.com/articles/s41598-022-20561-5

 

日本での孤独感を理解するためには日本の文化や社会構造にとって特有の要素も加味して考える必要がある。出版された論文では関係流動性という、個人が自由に所属するグループを移動したりその選択を行う自由や、今まで知らなかった人々と新しく出会う機会の多さなどを示す指標が孤独感にとって重要であることを示した。この社会の柔軟性・硬直性を示す要素は、従来言われていた親しい関係の多寡と独立して人間の孤独感に影響を与える事が分かった。また経済的な豊かさなどの指標を加えてもこの関係流動性の要素が孤独感に独立の影響を持つことも分かった。この様な知見は応用的な価値を持ち、孤独対策など政策のデザインに寄与するものである。更に人間自体を科学的に理解する上で社会的・文化的な構造に関する要素を考慮する重要性を示している。

 

Badman, R. P., Nordström, R., Ueda, M., & Akaishi, R. (2022). Perceptions of social rigidity predict loneliness across the Japanese population. Scientific Reports12(1), 1-14.